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012-01 相続税の非課税財産

目次

Ⅰ.概要
Ⅱ.相続税の非課税財産の概要
Ⅲ.公益事業を行う者の範囲
Ⅳ.心身障害者共済制度の範囲
Ⅵ.根拠税法、参考文献のリンク

Ⅰ.概要

相続により財産を取得した場合には、相続税が課せられるのが原則です。
ただし、一定の相続財産に関しては、相続税の対象から外すことができます。
・特に生命保険金の非課税が実務では頻出します。生命保険金については、「500万円×法定相続人の数」だけ非課税枠があります。

 

Ⅱ.相続税の非課税財産の概要

(相法12条)

  
次の財産には、相続税を課さない。

番号 内容
皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物
墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの
宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるもの(注1)が相続又は遺贈により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
ただし財産を取得した者がその財産を取得した日から二年を経過した日において、なお当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合においては、当該財産の価額は、課税価格に算入する。
条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるもの(注2)に基づいて支給される給付金を受ける権利
相続人の取得した第三条第一項第一号に掲げる保険金(注3)については、下記の区分に応じ、それぞれに定める金額相当部分
イ 第三条第一項第一号の被相続人のすべての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が保険金の非課税限度額(注4)以下である場合…当該相続人の取得した保険金の金額
ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合…当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額
相続人の取得した第三条第一項第二号に掲げる給与(以下この号において「退職手当金等」という。)については、下記の区分に応じ、それぞれに定める金額相当部分
イ 第三条第一項第二号の被相続人のすべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が「退職手当金等の非課税限度額」(注5)以下である場合…当該相続人の取得した退職手当金等の金額
ロ イに規定する合計額が当該退職手当金等の非課税限度額を超える場合…当該退職手当金等の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した退職手当金等の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

(注1)Ⅲ参照
(注2)Ⅳ参照
(注3)前号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。
(注4)500万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額をいう。

(注5)500万円に当該被相続人の第十五条第二項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額をいう。

Ⅲ.公益事業を行う者の範囲

(相令2条)
(相法64条1項、66条1項、相令31条)

・Ⅱ(注1)の者とは、専ら下記の事業その他の宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業で、その事業活動により文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するところが著しいと認められるものを行う者とする。

規定条文 事業内容
社会福祉法第二条(定義) 社会福祉事業
更生保護事業法第二条第一項(定義) 墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの
児童福祉法第六条の三第九項(定義) 家庭的保育事業
児童福祉法条第十項 小規模保育事業
五児童福祉法条第十二項 事業所内保育事業
学校教育法第一条(学校の範囲) 学校又は就学前の子どもに関する教育
保育等の総合的な提供の推進に関する法律第二条第六項(定義) 認定こども園を設置し、運営する事業

ただし、その者が個人である場合には下記第一号に掲げる事実がない場合に限る。また、その者が「社団等」(注A)である場合には第二号及び第三号に掲げる事実がない場合に限る。

 号 事実
その者若しくはその親族その他その者と特別関係(注B)がある者又は当該財産の相続に係る被相続人若しくは当該財産の遺贈をした者若しくはこれらの者の親族その他これらの者と特別関係がある者に対してその事業に係る施設の利用、余裕金の運用、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給その他財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益を与えること。
当該社団等の役員その他の機関の構成、その選任方法その他当該社団等の事業の運営の基礎となる重要事項について、その事業の運営が特定の者又はその親族その他その特定の者と特別関係がある者の意思に従ってなされていると認められる事実があること。
当該社団等の機関の地位にある者、当該財産の遺贈をした者又はこれらの者の親族その他これらの者と特別関係がある者に対して当該社団等の事業に係る施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、当該社団等の機関の地位にある者への選任その他財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益を与えること。

(注A)法第六十六条第一項に規定する、代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団を言う。
(注B)法第六十四条第一項に規定する下記に掲げる者を言う。

婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
上記の者の親族でその者と生計を一にしているもの
使用人及び使用人以外の者で当該個人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
上記の者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの

Ⅳ.心身障害者共済制度の範囲 

(相令2条の2)
(所令20条2項)

・Ⅱ(注2)の共済制度とは、所得税法施行令第二十条第二項に定める共済制度を言う。即ち、地方公共団体の条例において「心身障害者」を扶養する者を加入者とし、その加入者が地方公共団体に掛金を納付し、当該地方公共団体が心身障害者の扶養のための給付金を定期に支給することを定めている制度(注1)で、次に掲げる要件を備えているものとする。

要件

心身障害者の扶養のための給付金(その給付金の支給開始前に心身障害者が死亡した場合に加入者に対して支給される弔慰金を含む。)のみを支給するものであること。
前号の給付金の額は、心身障害者の生活のために通常必要とされる費用を満たす金額(同号の弔慰金にあっては、掛金の累積額に比して相当と認められる金額)を超えず、かつ、その額について、特定の者につき不当に差別的な取扱いをし五いこと
第一号の給付金(同号の弔慰金を除く。次号において同じ。)の支給は、加入者の死亡、重度の障害その他地方公共団体の長が認定した特別の事故を原因として開始されるものであること。
第一号の給付金の受取人は、心身障害者又は前号の事故発生後において心身障害者を扶養する者とするものであること。
第一号の給付金に関する経理は、他の経理と区分して行い、かつ、掛金その他の資金が銀行その他の金融機関に対する運用の委託、生命保険への加入その他これらに準ずる方法を通じて確実に運用されるものであること。

(注1)脱退一時金の支給に係る部分を除く。

Ⅴ.補足


・以下は国税庁の通達やタックスアンサーからの補足です。詳しくは最下部のリンク先をご参照ください

「墓所、霊びょう」の意義

Ⅱの「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含む。

祭具等の範囲
Ⅱの墓所、霊廟及び祭具に「準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいうのであるが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれない。

 

「当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」の意義

Ⅱの三号にある「当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」とは、その財産について、相続開始の時において当該公益を目的とする事業の用に供することに関する具体的計画があり、かつ、当該公益を目的とする事業の用に供される状況にあるものをいう。個人生活の用に供されるものは、これに該当しない。

財産を取得した後公益事業の用に供しない場合

Ⅱの三号にある「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者」から当該事業の用に供されている財産を相続又は遺贈によって取得した場合において、その取得した者が公益事業を行わないときはもちろんのこと、2年以内に公益事業を行うときであっても、当該財産を当該事業の用に供していないときは、相続税の課税価格に算入する
財産を取得した後公益事業を行う場合

Ⅱの三号にある「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者」から当該事業の用に供されている財産を相続又は遺贈によって取得した者が、当該財産を取得すると同時に当該事業を受け継いで行う場合には、当該公益を目的とする事業の用に供されている財産についてはⅡの三号に掲げる財産に該当するものとする。ただし、次の(1)又は(2)に該当する場合においては、この限りでない。
(1) 相続税の申告書の提出期限までに当該事業の用に供される財産が未分割である場合
(2) 当該事業の規模が当該相続又は遺贈に係る被相続人が行っていた当該事業の規模より著しく縮小される場合

「当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合」の意義
Ⅱの三号にある「当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合」とは、財産を取得した者が当該財産を現実に当該公益を目的とする事業の用に供している場合以外の場合をいうのであるから、当初当該財産を公益を目的とする事業の用に供していても2年を経過した日現在において、その用に供しなくなった場合をも含む。
公益事業の用に供しなかった財産
Ⅱの三号にある、財産を取得した日から2年を経過した日において、なお当該財産を公益を目的とする事業の用に供していないために、当該財産の価額を課税価格に算入することになった場合においては、当該財産を取得した時の時価によって評価し、相続税の課税価格の計算の基礎に算入する。この場合において、その者については延滞税及び各種加算税の納付義務がある。

 

相続を放棄した者等の取得した保険金

相続を放棄した者又は相続権を失った者が取得した保険金については、Ⅱの五号にある保険金の非課税金額の規定の適用はない。

保険金の非課税金額の計算

相続人の取得した法第3条第1項第1号に掲げる保険金(Ⅱの四号にある給付金を受ける権利を除く。以下同じ。)の合計額の全部又は一部について措置法第70条第1項、3項、10項(国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等)の適用を受ける部分がある場合は、同条の規定の適用を受ける部分の金額を控除した後の保険金の額を基礎としてⅡの五号にある保険金の非課税金額を計算するものとする。

Ⅱの五号にある保険金の非課税金額の計算を算式で示せば、次のとおりである。
各相続人の非課税金額=(500万円×法定相続人の数)×B/A

A=各相続人が取得した保険金の合計額の総額
B=各相続人が取得した保険金の合計額

各相続人が取得した保険金の合計額の総額が、500万円に法定相続人の数を乗じて算出した金額以下の場合には、各相続人の取得した保険金の合計額に相当する金額が、その者の保険金の非課税金額となる。
保険金を取得した被相続人の養子(相続を放棄した者を除く。)については、全員保険金の非課税金額の適用がある。
保険金についての取扱いの準用
相続を放棄した者等の取得した退職手当金等及び退職手当金等の非課税金額の計算については、上記の取扱いに準ずるものとする。

Ⅳ.根拠税法、参考文献のリンク

相続税法

施行令

施行規則

12条
(非課税財産)

2条
(公共事業を行う者)
2条の2
(共済制度の範囲)

 
12条2項
(課税される場合)
   
64条1項
(特別の関係)
66条1項
(社団等)
31条
(特別の関係)
 

国税庁/相続税法基本通達 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01.htm 
第12条《相続税の非課税財産》関係
〔墓所、霊びょう、祭具等関係〕
12-1 「墓所、霊びょう」の意義
12-2 祭具等の範囲
〔公益事業用財産関係〕
12-3 「当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」の意義
12-4 財産を取得した後公益事業の用に供しない場合
12-5 財産を取得した後公益事業を行う場合
12-6 「当該財産を当該公益を目的とする事業の用に供していない場合」の意義
12-7 公益事業の用に供しなかった財産
〔保険金関係〕

〔退職手当金関係〕
12-10 保険金についての取扱いの準用

・国税庁/文書回答事例/相続税
該当なし

・国税庁/質疑応答事例/相続税・贈与税
相続税の非課税財産等
1 町内会に寄附した相続財産
2 庭内神しの敷地等

・国税不服審判所/相続税法関係https://www.kfs.go.jp/service/MP/04/index.html 
非課税財産(3件)
・宗教法人の土地⇒課税対象
・老人ホームの入居金⇒贈与税の非課税
・老人ホームの高額入居金⇒贈与税の課税

 
(作成 2024年)

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