〒275-0016 千葉県習志野市津田沼1-10-41津田沼十番街ビル702号室

受付時間

9:30~17:00
定休日:土曜・日曜
(予約相談は対応可)

お気軽にお問合せ・ご相談ください

047-411-8184

016-00 資産の譲渡等の時期と特例

目次

Ⅰ.概要
Ⅱ.原則
Ⅲ.リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
Ⅳ.工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
Ⅴ.小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期等の特例
Ⅵ.リンク、参考文献、根拠税法

Ⅰ.概要

 消費税の計算は課税期間ごとに一定の集計が必要になります。そのうえで課税資産の譲渡を行った時期がどの課税期間に属するのかを個々に特定しないといけません。
 消費税の課税資産の譲渡等を行った時期は、原則として資産の引き渡しやサービスの提供が完了したときとなります。前払や未払といった決済のタイミングは関係しません。これは特に消費税法上は明記はされていない事項となります。
 特例として、リース売上については計上時期を後ろにずらしたり、建設工事売上については計上時期を前倒ししたりすることも(経理処理に合わせて)認められています。これは消費税法上で規定されています。さらにはごく一部の小規模個人事業主の場合には現金主義という決済のタイミングでの計上も認められています。
 ここでは消費税法基本通達に従って原則の具体例を並べます。

Ⅱ.原則

(消法なし、消通達9-1-1~9-1-30)
資産の譲渡等の時期は消費税法上の定めはありませんが通達に具体例が提示されています。

・棚卸資産の譲渡等の時期…その引き渡しのあった日。出荷基準や研修基準のうち合理的なものを継続採用する。

・請負による譲渡等の時期

資産の譲渡等の種類 時期
物の引き渡しを要する請負契約 その目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日
物の引き渡しを要しない請負契約 その約した役務の全部を完了した日
建設工事等                                                                                                                                           例えば、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等、当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じてその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、事業者が継続して資産の譲渡等を行ったこととしている日
建設工事等の値増金 その建設工事等の引渡しの日。ただし確定した値増金については、その収入すべき金額が確定した日
一の契約により同種の建設工事等を多量に請負ったような場合 完成した部分の引渡しを行った日
1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合 完成した部分の引渡しを行った日 完成した部分の引渡しを行った日
機械設備の販売に伴う据付工事 機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分して、それぞれにつき資産の譲渡等を行ったものとすることができる。
不動産の仲介あっせん 原則としてその売買等に係る契約の効力が発生した日。ただし、事業者が売買又は交換の仲介又はあっせんに係る資産の譲渡等の時期を継続して当該契約に係る取引の完了した日(同日前に実際に収受した金額があるときは、当該金額を収受した日)としているときは、これを認める
設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術に係る役務の提供 原則として、その約した役務の全部の提供を完了した日
上記のうち、(1) 報酬の額が現地に派遣する技術者等の数及び滞在期間の日数等により算定され、かつ、一定の期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合 その支払を受けるべき報酬の額が確定した日
上記のうち、(2) 例えば、基本設計に係る報酬の額と部分設計に係る報酬の額が区分されている場合のように、報酬の額が作業の段階ごとに区分され、かつ、それぞれの段階の作業が完了する都度その金額を確定させて支払を受けることとなっている場合 その支払を受けるべき報酬の額が確定した日
上記のうち、支払を受けることが確定した金額のうち役務の全部の提供が完了するまで又は1年を超える相当の期間が経過するまで支払を受けることができないこととされている部分 その完了する日とその支払を受ける日とのいずれか早い日とすることができる。
上記のうち、技術に係る役務の提供についての契約に関連してその着手費用に充当する目的で相手方から収受する仕度金、着手金等の額 その収受した日とすることができる。
運送収入

原則として、その運搬に係る役務の提供を完了した日。場合に応じ下記を認める。
(1)乗車券、乗船券、搭乗券等を発売した日
(2)船舶、航空機等が積地を出発した日
(3)一航海を完了した日
(4)一の運送に通常要する期間又は運送を約した期間の経過に応じた日割又は月割等による一定の日

・固定資産の譲渡の時期

資産の譲渡等の種類 時期
固定資産の譲渡 原則は、引渡しの日。
ここで引渡しの日とは、次のうちいずれか早い日。
(1)代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日
(2)所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日
土地、建物その他これらに類する資産の譲渡                                                                                                                                   契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときは、これを認める。                                                                                                                        
農地の譲渡 農地の譲渡に関する契約が農地法上の許可を受けなければその効力を生じないものであるため、事業者がその譲渡の時期をその許可のあった日としているときは、これを認める。
工業所有権等の譲渡 その譲渡又は設定に関する契約の効力発生日。
ただし、その譲渡又は設定に関する契約の効力が登録により生ずることとなっている場合で、事業者がその登録日によっているときは、これを認める。

・有価証券の譲渡の時期

資産の譲渡等の種類 時期
有価証券等のうち証券又は証書が発行されているもの譲渡 その引渡しがあった日。
ただし法人が法人税法に規定する「その譲渡にかかる契約をした日」としている場合には、これを認める。
株券の発行がない株式等の譲渡 証券の代用物が発行されている場合はその引渡しがあった日、証券の代用物が発行されていない場合は譲渡の意思表示があった日。
登録国債の譲渡            名義変更の登録に必要な書類の引渡し等があった日
持分会社の社員の持分等(証券が発行されていないもの)の譲渡                            譲渡の意思表示があった日
株式の信用取引等 当該売付けに係る取引の決済を行った日

・利子、使用料等を対価とする資産の譲渡等の時期

資産の譲渡等の種類 時期
貸付金等から生ずる利子          その利子の計算期間(発生主義)。
ただし、主として金融及び保険業を営む事業者以外の事業者が、その支払期日が1年以内のものの額につき、継続してその支払期日の属する課税期間の資産の譲渡等の対価の額としている場合には、これを認める(現金主義)。
償還差益を対価とする資産の貸付け 国債等の償還が行われた日。
ただし、法人が法人税法上の償還有価証券の調整差損益の計算をしているときはこれを認める。
使用料等の額(前受けに係る額を除く。)を対価とする資産の賃貸借                                                                    その支払を受けるべき日。
上記について、係争(使用料等の額の増減に関するものを除く。)があるためその支払を受けるべき使用料等の額が確定せず、当該課税期間においてその支払を受けていないとき その係争が解決して当該使用料等の額が確定しその支払を受けることとなる日とすることができる。
上記について、使用料等の額の増減に関して係争がある場合 契約の内容、相手方が供託をした金額等を勘案してその使用料等の額を合理的に見積るものとする。
工業所有権等又はノウハウの使用料の額を対価とする資産の譲渡等 その額が確定した日。ただし、事業者が継続して契約により当該使用料の額の支払を受けることとなっている日としている場合には、これを認める。

・その他の資産の譲渡等の時期

資産の譲渡等の種類 時期
物品切手等と引換えに行う物品の給付若しくは貸付け又は役務の提供                          当該物品の給付等を行う時 
保証金等のうち返還しないものの額を対価とする資産の譲渡等             (保証金、敷金等として受け入れた金額であっても、)その返還しないこととなった日
先物取引に係る資産の譲渡等                                    当該先物取引は資産の引渡しを伴わない取引であるから資産の譲渡等には該当しないのであるが、現物の引渡しを行う場合には、当該引渡しを行う日に資産の譲渡等が行われたことになる。
強制換価手続による換価による資産の譲渡等                                                                                                                        当該換価により買受代金が納入された時
前受金、仮受金に係る資産の譲渡等 現実に資産の譲渡等を行った時
共同事業の間と異なる場合の資産の譲渡等異なる場合の資産の譲渡等    該当共同事業として資産の譲渡等を行った時に各構成員が資産の譲渡等を行ったこととなる。
ただし、各構成員が、当該資産の譲渡等の時期を、当該共同事業の計算期間(1年以内のものに限る。)の終了する日の属する自己の課税期間において行ったものとして取り扱っている場合には、これを認める。
受益者等課税信託の資産の譲渡等        受益者等課税信託において、受益者等が行ったとみなされる資産等取引については、当該受益者の課税期間に対応させて消費税額を計算する。

 

集団投資信託等の資産の譲渡等   

    

集団投資信託については、委託者から信託を受けた受託者が資産等取引を行ったこととなるから、当該受託者の資産等取引については、当該受託者の課税期間に対応させて消費税額を計算する。
ただし、法人課税信託を除き、当該受託者の課税期間と当該受託者における個々の信託の計算期間とが異なる場合において、当該課税期間中にその計算期間の末日が到来した信託についてその計算期間中に行われた資産等取引の全てを当該課税期間における資産等取引としているときは、継続適用を条件としてこれを認める。

Ⅲ.リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例

(消法16、消令31~37)
これは別記事にまとめたいと思います。

Ⅳ.工事の請負に係る資産の譲渡等の時期等の特例

(消法17、消令38~39)
これも別記事にまとめたいと思います。

Ⅴ.小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期等の特例

(消法18、消令40、消規12、所法67、所令195~197)
 個人事業主で、所得税法の現金主義の特例を受ける者は、消費税法上も現金主義により売上仕入を計上することができます。この所得税法上の特例を受けることができる者は売上300万円以下であることが必要なので、実務上の重要性は低いです。

Ⅵ.リンク、参考文献、根拠税法

費税法16,17,18 

消費税法施行令31~40 

消費税法施行規則12 

国税庁 消費税法基本通達 
・・第9章 資産の譲渡等の時期
・・・第1節 通則
・・・・第1款 棚卸資産の譲渡の時期
・・・・第2款 請負による譲渡等の時期
・・・・第3款 固定資産の譲渡の時期
・・・・第4款 有価証券の譲渡の時期
・・・・第5款 利子、使用料等を対価とする資産の譲渡等の時期
・・・・第6款 その他の資産の譲渡等の時期
・・・第2節 削除
・・・第3節 リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
・・・第4節 工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
・・・第5節 小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期の特例
・・・第6節 その他

国税庁 文書回答事例 消費税法 
・・資産の譲渡等の時期  

国税庁 質疑応答事例 消費税法 
・・資産の譲渡等の時期  

国税不服審判所 消費税法関係 
・・該当なし 

国税庁 タックスアンサー 消費税 
・・基本的な仕組み
・・・ 6141 納税義務の成立の時期
・・・ 6161 延払基準、工事進行基準を用いているとき
・・・ 6163 リース取引についての消費税の取扱いの概要
・・・ 6165 前受金や前払金などがあるとき

(作成 2023年5月1日)

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

047-411-8184

<受付時間>
9:30~17:00
<定休日>
土曜・曜(予約相談は対応可)

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

2023/8/1
ホームページを公開しました

平澤智彦・規雄税理士事務所

住所

〒275-0016 千葉県習志野市津田沼1-10-41津田沼十番街ビル702号室

アクセス

JR津田沼駅徒歩3分 新京成新津田沼駅徒歩2分
駐車場:近くのイオンまたはヨーカドー駐車場をご利用ください

受付時間

9:30~17:00

定休日

土曜・曜(予約相談は対応可)